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2004年10月25日 (月)

『赫い月照』谺健二

4062117614.jpg赫い月照
谺 健二 (著)

-----[ あらすじ ]-----
摩山は、頭に引っかかって仕方がない酒鬼薔薇事件の少年Aの犯行動機を探るため、超越推理小説『赫い月照』を書き始めた。断片的に記憶を失うようになった摩山の周りで不可解な殺人事件が発生する…。
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本格ミステリーの中で酒鬼薔薇事件の少年Aをはじめとする現実に起こった少年犯罪の動機に迫ろうとした、意欲作。

名探偵・振子占い師・雪御所圭子シリーズですが、シリーズ未読の私でも、全く問題なく読めました。この作品で、雪御所圭子の過去や謎解きに入れこむ理由が明かされるので、シリーズのファンはより興味深く読めるのではないでしょうか。

ただ、快楽殺人者の脳内の妄想をそのまま描いたような小説中小説『赫い月照』の異様さや、残酷な描写などで、全く受けつけないとう読者もいるでしょう。私も読んでいて気分が悪くなる場面がいくつもありました。それでも最後まで一気に読ませる迫力が感じられたのも確かです。

フィクションの連続殺人事件を追う過程で、「酒鬼薔薇事件」や「てるくはのる事件」といった現実に発生した少年犯罪が検証されていきます。作品の登場人物たちが語る事件の考察や解釈は、読ませるものがありました。著者が真摯に事件と向き合い考えたことがうかがえます。

一方、本格ミステリーとしては…う~ん、微妙なところです。全体的に、かなりご都合主義的な点がものすごく気になりました。また、大枠は強引に辻褄を合わせたけれど、細部をみると穴だらけ、という感じもします。密室や消失などの謎も盛りだくさんなのですが、そのトリックが実にしょぼくてガッカリ。伏線がよく考えられている部分もあるし、真犯人の意外性にもサプライズがあるので、非常に惜しいです。

しかし、社会派的なテーマ性と本格ミステリーのパズル性を両立させようとしているこの作風は好みなので、次回作が楽しみです。

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