« 尾道らーめん「柿岡や」ラーメン甲子園店 | トップページ | 今年のバレンタインは… »

2005年2月 9日 (水)

『半身』サラ・ウォーターズ

4488254020半身
サラ・ウォーターズ (著)
中村 有希 (翻訳)
東京創元社・2003/05

-----[ あらすじ ]-----
19世紀のロンドン。ミルバンク刑務所を慰問に訪れた貴婦人マーガレットは、そこで、不思議な雰囲気を持つ美しい女囚シライナに出会う。マーガレットは次第にシライナに引かれていき…。
-------------------

サラ・ウォーターズの作品は、「このミステリーがすごい」海外編で、「半身」が2004年版第1位、そして、次作の「荊の城」が2005年版でも第1位となったので興味を持ち、まずは「半身」を読んでみました。

舞台は、ヴィクトリア時代のイギリス。
主人公は、社会に馴染めず、家でも居心地の悪さを感じている独身の令嬢マーガレット。
このマーガレットの現在(1874年~)の日記と、女囚シライナの2年前(1872年~)の日記が交互に語られていきます。

マーガレットのじくじくとするような心の痛み。
陰惨な監獄の様子。
妖しげな心霊術。
そして、次第にシライナへの思いを募らせていくマーガレット。

とりたてて大きな事件は起きません。
この物語がどこへ向かってくのか全く分からないまま、ほの暗くじっとりとした独特の雰囲気の中を読み進むことになります。
昔の少女漫画を彷彿とさせるような作品世界。
この雰囲気に絡められると、ラストまで一気読み。
そうでなければ、全くページが進まないのではないかと思いました。
かなり読者を選ぶ作品という印象を持ったので、この作品が「このミス」1位というのは驚きです。

私は、ゴシックホラー・テイストは苦手としている方なのですが、この作品は肌に合ったようで、すんなりと読めました。
ラストにはミステリ的なサプライズも用意されていますが、私は心理サスペンスとして読めました。
主人公に共感を覚える部分はほとんど無かったのですが、30歳間近まで独身でいると「老嬢」(!)と世間から呼ばれてしまう社会で生きなければならない女性の息苦しさ、孤独感、焦燥感がひしひしと伝わってきます。
女性特有の心情が巧く描かれているので、そういう点では、女性向きの作品かもしれません。
読後感は、うすら寒い感じでしたが、こういうのは嫌いじゃないです。

|

« 尾道らーめん「柿岡や」ラーメン甲子園店 | トップページ | 今年のバレンタインは… »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/29403/2840627

この記事へのトラックバック一覧です: 『半身』サラ・ウォーターズ:

» 半身(サラ・ウォーターズ) 創元推理文庫(2003年) [ゆうきの読書日記&矯正日記]
このミステリーがすごい海外編第1位 1874年のロンドン。科学的に霊界は存在するのかというようなことが 真剣に論じられていて様な時代のお話。 監獄を慰問した、上流社会の若い女性が、 女囚の一人であるシライナ・ドーズに惹かれていく。 シライナは霊媒であると自... [続きを読む]

受信: 2005年4月26日 (火) 20:58

« 尾道らーめん「柿岡や」ラーメン甲子園店 | トップページ | 今年のバレンタインは… »