『ある閉ざされた雪の山荘で』東野圭吾
『ある閉ざされた雪の山荘で
』
東野 圭吾 (著)
講談社 (1996/01、初出1992/03)
-----[ あらすじ ]-----
4月、乗鞍高原のペンション「四季」に4人の男性と3人の女性が集まった。彼らはオーディションに合格した役者で、推理劇の稽古をするために呼び寄せられたのだ。しかし、殺人事件の被害者役となった仲間が実際に消えていくと、これは本当に芝居なのか、という疑問がわいて来て…。
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「雪の山荘もの」という典型的な本格ミステリを思わせる題名にもかかわらず、実はちょっと違うところがポイント。
物語の舞台をなるペンションは、電話も通じるし、4月なので雪だって積もってない。
全く閉ざされていないにもかかわらず、登場人物たちが外部と連絡を取ろうとしない理由がよく考えられている。心理的なクローズドサークルの場合「普通の感覚ではありえない行動じゃないの?」と思うことがままあるが、それが全く無く、登場人物の行動に不自然さは感じなかった。
犯人が用意した仕掛けしには少し無理を感じる部分があったけれど、それよりも、著者が仕組んだトリックが見事だった。読みながら腑に落ちないと感じていた部分が、このトリックが明かされたとたんに「なるほど!」と納得させられる。
今起きていることが芝居なのか現実なのか、揺れる心境や恐怖心もサスペンスフルで引きこまれた。
さすがです!
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