『無痛
』
久坂部 羊 (著)
幻冬舎 (2006/04)
-----[ あらすじ ]-----
医師・為頼は人の外見を見るだけで病気の症状と犯罪の兆候がわかる能力を持っている。為頼は、財布を拾ってもらったのをきっかけに臨床心理士の菜見子と知り合い、相談を受ける。菜見子が勤めている精神障害児童の施設に入所しているサトミという少女が、教師一家殺害事件は自分がやった、と告白したというのだ…。
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とにかく気分が悪くなる場面が多かった。
物語としては面白かったのだが、過剰にサディステックで、しかも描写が超リアル。
残虐なシーンやストーカー男の異常な行動をここまで詳細に書き込む必要があるのか、疑問を感じる。
生理的な嫌悪感を覚え、読むのが苦痛になることが何度かあった。
このような表現を好む人もいるのかな…。
主人公は医師の為頼。
外見を見るだけでその人の病状が分かってしまうという特殊能力を持っている、というユニークな設定。
その能力ゆえに、医療に対しては独自の考えを持っている。
全てに共感することは無いけれど、そうかもしれないな…と思う部分もあり、なかなか興味深かった。
作中には特定の病気や障害を持つ人が登場する。
多分に脚色されているのだとは思うが、だからこそ実際にその病気にかかっている人やその家族が読むと不愉快な気持ちになるのではないか。
物語のキーとなる人物については、あまりにデフォルメされていて、まるでX-メンなので、もうここまでくると現実感ゼロなんだけれども、でも、当事者はいい気持ちはしないと思う。
気分が悪くなると言いながらも、後半に向けスリリングな展開で一気に読ませるものはあった。
が、ミステリ的には、強引に収束させた感じで、やや拍子抜け。
どちらかというと、ホラーっぽかったな。
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