『顔のない敵
』
石持 浅海 (著)
光文社 (2006/8/22)
表題作を含め、「対人地雷」をテーマにしたミステリー6編と、処女作短編を収録。
---[収録作品]---
・地雷原突破
・利口な地雷
・顔のない敵
・トラバサミ
・銃声でなく、音楽を
・未来へ踏み出す足
・暗い箱の中で
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石持作品については、登場人物がキモイとか、会話がサムイとか、動機がありえないとか、散々なことを言っているにもかかわらず、新刊が出ると読まずにはいられないのは、実は私好みだってことなんでしょうかね。
確かに、いつも、ちょっと他の人は思いつかないようなユニークなことを考えてくれるので、今度は何だろう、と楽しみにしている面はあるかも。
本書のテーマは「対人地雷」。
登場人物が微妙にリンクしているだけで、それぞれの作品は違った趣向になっている。
地雷というテーマで、これだけさまざまな設定を考えたのは凄いと思う。
対人地雷除去作業の困難さ、大量の地雷が埋められているカンボジアの問題など、ひしひしと伝わってくるものがあった。
発生した事件と地雷の問題とが密接に関係しており、事件の謎を解くことで、ますます地雷に関する問題が浮かび上がってくる。
これはもう、お見事!と言うしかない。
だた、どうしても受け入れ難い部分があり…。
身内をかばい過ぎというか、大善のために小悪には目をつぶる、みたいな姿勢はどうなんだろう、と。
この種の気持ち悪さはほかの石持作品を読んだときに感じたもので、これがあるから「石持作品のファンだ」と言い切れずにいるのだ。
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